(仮想)みずとつちの芸術祭-新潟-2023が開会しました。開会式で話したことを掲載します。
本日はお忙しいところ、そして暑いところ、開会式にお越しいただきありがとうございます。
まずは皆様にある言葉を紹介させてください。
「まちづくり」を先にうたって、行政や市民をはめこむ方法ではなくて、何か一つのことに人が集結し、そこパワーが出れば、ソフト(人の心に残るもの)が生まれる。そこに呼応した人たちが、また別のことをすればいい。
この言葉は、今年の3月に青森県弘前市にある弘前れんが倉庫美術館に訪れ「もしもし、奈良さんの展示会はできませんか?」のドキュメンタリー展を観た時に、印象に残った言葉(奈良美智展 実行委員会メンバー 長谷川正之)です。
私事の話をするのは恐縮ですが、昨年10月に大きな出来事があり、芸術祭の準備に取り掛かる気力が残らないほど多忙な日々が続いていました。その中で、この言葉との出会いは、とても勇気づけられるものがありました。
そして、この翌日に、秋田市の文化創造館へ行き、藤浩志さんを始めとし、スタッフの皆さんとお話しさせていただきました。
スタッフの一人から「仮想みずつち知っています。仮想って面白い発想ですね」と言われ、この活動がじわりと広がっていることを実感し、消えかかっていた気力を取り戻すきっかけになりました。
今年は現時点で、できなかったことや、迷惑をかけていることが多いのですが、それでも皆さんから協力をいただき、今年もステキな空間ができました。しかも、会期中に一部展示内容を変更したり、会期を飛び越えた制作になるかもしれないものがあったりします。
また、これから新しい展開が生まれる可能性もあり、いよいよ領域が拡大するかもしれません。
「まちづくり」を先にうたって、行政や市民をはめこむ方法ではなくて、何か一つのことに人が集結し、そこにパワーが出れば、ソフト(人の心に残るもの)が生まれる。そこに呼応した人たちが、また別のことをすればいい。
この言葉にこそ、この芸術祭が目指すゴールが表れています。
先日、大地の芸術祭の仕掛け人である渡辺斉さんとスッポンを食べる機会があり、地域における芸術祭が目指すものはどういったものかという話をしました。
私たちは「地域に住み暮らす人たちの心に火を灯すことが、地域おける芸術祭が目指すものだ」という意見で一致しました。
MANY BRIDGES 可能性をつなげる。掛け合わせる。
過去を知り、現在(いま)を考え、未来を創る
これが私たちの理念です。
これからもどうぞ、この芸術祭の発展と、理念の実現のためにご協力いただきますようお願い申し上げます。
結びに、弘前れんが倉庫美術館に展示されていた奈良美智さんの言葉を紹介します。
みんなががんばってオープンした直後は花が咲いてお花見をする感じ。
そして、花は必ず散るように、会期があるから展覧会は終わる。
でも、終わった後には、種とかいろんなものをみんなが落とすんじゃないかな。
この芸術祭が、種とかいろんなものを生み出ことにつながればと思います。
少し長くなりましたが、総合ディレクターとしての挨拶に代えさせていただきます。